お墓でも所有か賃貸かで迷う時代になったようです

 

「レンタル墓」のニュースが目にとまりました。

 

「レンタル墓」なぜ選ぶ? 数十万円で5~10年

 

そもそもお墓は「買う」という一択だと思っていたわけですが、「買う」すなわち所有権を主張できるものなのかといえば、厳密には「違う」ものだったりします。

もちろん、墓石は施主が代表して購入し、それを墓地に設置します。しかし、原則として墓地にできる寺院の敷地は分譲されません。

つまり、買うことのできない土地のうえに買ったものを置く、というのが、お墓の状態なのです。

区画を売り出している霊園もあると思われるかもしれませんが、売買されるのは使用権で、所有権ではありません。

いちばんわかりやすいのは、墓地の登記をしていないこと。

要するに、お寺や霊園の土地のうえに墓石を「置かせてもらっている」というのが、日本のお墓の実態なのですね。

このようなお墓を「代々墓」とか「家墓」「一般墓」と呼びます。

おそらく江戸時代の宗門人別帳からの流れで、菩提寺に遺骨を祀る石碑を置いてもらい、家長が管理を継承していくという“風習”が広まり、明治時代の民法で家督相続の制度化のなかに織り込まれていったと考えられます。

 

お墓継承に対する認識の変化

第二次大戦後、核家族化が進むにつれて、お墓を引き継ぐ環境も大きく変わってきました。

核家族化により家長の責任が分散されると、本家に墓守を一任するのではなく、それぞれで「自分の家の墓」を建てるようになります。

当然、墓地は不足することになり、墓地の提供と管理を生業とするところが発展することになります。

ただし、管理主体がお寺から公営・民営などに広がっても、管理内容は変わらぬままです。

これに対して、「墓地も借り物なら、墓石も借りたっていいじゃないか」というニーズに対応して登場したのが、レンタル墓というわけです。

代々が継続して守っていくはずの墓が、核家族化のなかで意味が薄れていくのを見れば、新たに自分が買ったお墓も孫の代まで面倒を見てくれる保証はないと思うのが自然でしょう。

また、そのような不確かなものを遺して、子孫に負担を強いるのも、忍びないというわけです。

レンタル墓は、墓碑部分が取り替えられるようになっていて、5~10年程度の期限付きで貸し出されることが多いようです。

レンタル契約終了後は永代供養に移行するなど、その時点で環境の変化を織り込みながら判断できるというわけです。

 

まとめ

日本では、ご遺体を遺族が引き取らないという選択は、原則としてできないことになっています。

ご遺体をそのまま放置することはもちろん、埋めたり流したりもできません。

一般的には荼毘に付して、お骨の形で管理することになるのですが、それ以前から鬼籍を含めて戸籍の管理を担当してきたお寺が、お骨の管理も引き継いだのでしょう。

ということで、現状ではお骨をなんらかのかたちで管理する必要があるということになります。

ただし、この管理の仕方も多様化するようになり、墓地への埋葬だけでなく、散骨のように“保管”を伴わない方法も取られるようになってきた、というのが現状です。

そのなかでこのレンタル墓は、「実際にお骨を保管してもらえる」「お骨のある場所を参詣できる」といったメリットがあると言えます。

もちろん、お墓を「買う」よりもリーズナブルであることも大きな利点でしょう。

しかし、「期限が終わってからの処理をまたしなければならないのが面倒」「借り物にお骨を入れておくのは故人を蔑ろにしている気がする」「世間体が悪い」といった、心理的なハードルを高めてしまうかもしれないというデメリットもあるわけです。

しかし、お骨は放置しておくわけにはいかないものなのです。

樹木葬や海洋散骨、宇宙葬などと並べて、選択肢が広がることは、終活にとってグッドニュースだと言えるでしょう。

 

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