自殺のSOSはどう受け取ればいいのか

 

日本自殺予防学会の理事長、張賢徳氏(帝京大学溝口病院精神科医師)のインタビュー記事をサマリーします。

 

 

(2012年以降、日本の年間自殺者数が3万人を割ったという指摘に対して)1998年から2011年まで年間自殺者3万人を超える状況が継続、特に40代から60代の男性の自殺が増加していた。

この高まりの状況に対して2000年頃にようやく政府が自殺対策に乗り出し、自殺防止対策、有識者懇談会を設立、しかしその後も年間自殺者3万人が継続していた。

2006年に自殺対策基本法が施行されることで、ようやく社会的な関心が高まり、これによって2012年に年間自殺者が3万人を下回るようになった。

2017年は2万1000人台。

自殺が減った大きな理由として、経済的要因を指摘する意見もあるが、雇用環境の変化によって中高年男性の自殺者が減ったことが要因ではないか。

一方で、若者や高齢者の自殺は減っていない。

日本でも、張氏らが中心になって心理学的剖検(遺族らからの聞き取りや遺書などから、亡くなった人の行動や思考を分析し、自殺の背景を調査する手法)を実施。

自殺対策基本法施行以後に自治体には相談窓口が置かれているが、利用者はほとんどいない。こうした事実が心理学的剖検によって明らかに。

日本には1998年以降の自殺増加時期を考えると、100万人以上の遺族がいると推測される。

支援プログラムはあるものの、「元気な人しかセミナーや講演会にはやってこない」つまり必要としている人に届いていないという指摘も。

 

「死にたい」という声をどうすればいいのか

張氏は、2004年の厚生労働科学特別事業「Webサイトを介しての複数同時自殺の実態と予防に関する研究」にも携わっていました。

 

2004年に比べて、インターネットによるつながりが安易になっている傾向がある。これによって自殺願望がある女性たちを殺害した座間市の事件が引き起こされた。

実際に診療を受けている患者では、自殺を口にする人は少なくなくても実行までには至らない。冷静に見ることができている。

自殺について打ち明けられたり、苦しいと言える場があるかどうかが大きなポイント。

それだけに、精神科医自身の教育や啓蒙、啓発が必要。

最近では、ガン患者の自殺も注目されているので、精神科医以外の医者も関心を持つ必要がある。

窓口を広げるべき。

自殺対策基本法の改正により、子どもや若者たちに対して「SOSの出し方教育」が明記。

これに対応できる環境の整備が急務だろう。

参照:遺族支援、SOS受信…自殺予防学会理事に聞く自殺者数減少でも残る課題|BLOGOS

 

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