終活事業者への預け金管理は任せっぱなしではいけません

 

終活ビジネスが活発になり、いろいろな業者が入り乱れて広がりをみせています。

片付けや施設の紹介、お墓の相談、相続などなど。

それぞれの状況で「困りごと」は異なり、業者の助けも個別になることが多いかと思います。

しかし、終活に目覚めてしまうと、あれもこれもが気になって、トータルでサポートしてくれるサービスのほうが安心できそうに思う人も増えてくるでしょう。

もちろん、込み込みで依頼するほうが料金もリーズナブルになったりするのがサービス業の常ですので、それもまた訴求力になって、終活ビジネスの機動力になっていくことは想像に難くありません。

ところが、困ったことに、お金の集まるところにはお金のトラブルも付きものになってしまうのです。

 

福岡県ゴールド事業協同組合破産の余波

終活サポート事業の説明会に出向くと、データのなかで必ずと言っていいほど比較されているのが互助会でしょう。

会員になって積立をして、いざというときに葬儀などの面倒を見てもらうというシステム。

原則的に終活ビジネスのトータル・サポートをうたっているサービスも、これに準じたものと考えていいでしょう(もちろん後発だけにいろいろな最新オプションを付けたものになっていますが)。

こうした「会員を募って資金を運用しながらサービスを提供する」というタイプのビジネスでは、資金管理の方法と透明性が重要になります。安全性はいうまでもありませんね。

国の年金制度、共済、ファンドなども同様。

ところが、ファンドは元金割れ、年金に至っては支給年度の先送りや支給額の削減など、詐欺まがいの行為がまかり通っているのも事実。

銀行預金でさえペイオフで「つぶれちゃったら(少しは戻すけど)ごめんなさいね」が許されてしまうのですから。

こうした規制の枠外で、将来的なサービスのために資金を預かる業者に対する利用者側の危機管理は、本来ならばより厳しくしなければなりません。

しかし、現実には「掛け捨て」の安心料の感覚でこうしたサービスをとらえているのではないかと感じているのは、私だけではないと思うのですが、いかがでしょうか。

そこにこんなニュース。

消えた終活資金救済の声 読者反響次々 同業者、割引申し出

西日本新聞では、2018年に入って、終活資金の被害に関する特集を組んでいたようです。そのフォロー記事。

ここに出てくる福岡県ゴールド事業協同組合は2017年12月に破産手続きを開始。「終身の葬祭保証」といううたい文句でピーク時は会員数3,000人、2012年3月期の売上高が4800万円という規模に成長していたようです。

ところが、2017年3月期の売上高は3000万円に減少。葬儀の規模が縮小するという潮流を読み切れず、会員数も減少し続け、負債は2億円に膨らんでの倒産でした。

このサービスで連鎖倒産的な被害を受けるのが利用者(会員)です。

記事で取材している91歳の女性のケースでは、20年以上も会費を払い続けていたとか。

20年前なら300万円は最低ラインと言われていた葬儀費用も、家族葬など小規模のものが一般的になることで、積立金の返戻率が増加。結果的に「事業収入が減るのに持ち出しが増える」という、破滅への道が残されていただけだったわけですね。

本来なら利用者も立派な葬儀を割安で出せるのに、いざとなったら出さないというのが「葬儀の実状」だったりするところも興味深いです。

もちろん、この被害者は、どちらの選択肢もなくなってしまったことになるのですが……。

 

まとめ

この破産を受けて、同業者が「一部割り引き」による救済を申し出ているようです。ただし、その業者の営業圏内とのこと。葬儀業務はエリアの制限があるので、これも仕方ないことですが。

こうしたトラブルで学べることは、提供されるサービスの内容はもちろん重要ですが、フォローをどれだけ考えているかを確認しておかなければならないということ。

特に資金を「使う」のではなく「預ける」場合は、保全のための仕組みをきちんと説明できない業者は信用しないというところまで慎重になってもいいと思います。

私も「社団法人終活協議会」という組織の「信託コンシェルジュ」というサービスを紹介できる立場として、この組織から認定を受けています。

認定講習では、組織についてやサービスの内容について一通りのガイダンスを受け、自分でも納得して、このサービスを扱うつもりでいます。

しかし、組織は時間とともに変化し、状況も変わります。

決算期ごとにチェックするぐらいの慎重さは、株式投資なら当たり前の行動です。

自分の資金の預け先のひとつとして、終活事業のチェックもルーティンに入れるべきなのです。

私も「社団法人終活協議会」に対して、この件の見解と財務状況の公開性を確認して、報告したいと思います。

 

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