高齢者施設への入居を考えるタイミングについて
高齢者施設への入居は「元気なうち」が本当にいいのか
日経ビジネスの記事に、高齢者施設への入居を考えるタイミングについて参考になるものがありました。
親、そして自分自身の「老い」とうまく付き合うための「エイジングリテラシー」を学ぶシリーズで読者から寄せられたコメントについて解説したもののようです。
入居は本人の意志が確認できる時期がいい?
コメント回答では、入居者本人が元気なうちのほうが、引っ越し(リロケーション)のダメージを小さくできる、としています。
ただし、自立できる状態で入居できる健康型有料老人ホームは少ないという難点があります。
施設入居の現状
LIFULL seniorの調査によると、入居者の際多数帯は80歳代で、入居時に自立した状態、すなわち介護の必要がない人は全体の5.2%しかないそうです(2020年11月発表※)。
入居時に認知症の初期症状がある人は8割とのこと。
つまり、家族が困った状態で、本人としっかりとした話し合いのないまま入居を決めざるを得ない、というのが現状のようです。
※「介護施設入居に関する実態調査」 (家族・親族の中で1年以内に介護施設入居者がいる方、または家族・親族の介護施設の情報収集や選定に関与した方対象)
記事では、独居の父親が病気で入院し、寝たきりになって介護度4となったために、特別養護老人ホーム10ヵ所を探し回ったという苦労話が紹介されています。
入居する側の本音
事情はわかるけれど、いつ介護が必要になるかわからない状態で施設に入るのを決めるのはなかなか難しいというのが実状でしょう。
記事では、食事が不安という意見を紹介。
これに対して、2018(平成30)年厚生労働白書を引用し、40歳代以上の73.5%が自宅での介護を望んでいるというアンケート結果を出しています。
内閣府調査でも65%という高い数値が出ていて、自宅施行の強さをうかがわせています。
先立つものの心配は?
85歳以上でも自宅にとどまりたいと答える人が65.8%いるとのことですが、裏を返せば3割近くは「快適なら施設でもいいかも」と考えているのではないでしょうか。
ホテル暮らしの気分でいれば、施設も悪くないですからね。
とはいえ、入居倍率以上に高いハードルとなるのが、費用でしょう。
「お金がなければ、かなり介護度が上がらなければ特養への入所は難しい」という意見が掲載されています。
年金でまかなえるような施設では、元気なうちに入りたいと思えないのが現実かもしれません。
「お金がない方や、支えてくれる家族がいない方であっても、介護を受けてご自宅で最期まで暮らすことは可能」ではあるものの、サービスを考えるとできることはかなり限定的というのを覚悟しなければならないのでしょう。
それに、自宅介護のサービス自体が空白になっているエリアもあるので、選択肢はさらに狭まること必死なのです。
どうすればいいの?
で、記事ではまとめとして「複数選択肢を持ち、本人が納得し、家族にとってもその時点ではベスト(少なくとも悪くはない)と思える選択を」と答えています。
え?
これじゃあ答えになってませんよね……。
もちろん、ケースバイケースだから、決定版がないのが高齢者施設選びの世界なのはわかっていますけど。
ということで、まずは身近な専門家に相談、情報を集めて選択肢を増やす、というのが得策ではないかと思います。
そのために「終活カウンセラー」という、定期的に情報を更新させている人を活用するのもアリ、ということなんですね。