国民年金の人には朗報なのかな……?【ニュース拾い読み】
厚生労働省は全ての国民が加入する基礎年金(国民年金)の給付抑制を予定より早く止める検討に入る。「マクロ経済スライド」と呼ぶ抑制策を前倒しで終え、支給を今の物価水準で月5万円以上に保つ。会社員が払う厚生年金の保険料や国庫負担で埋め合わせる。もともと少ない国民年金の減額を抑えて制度の信頼を守る狙いだが、小手先の見直しに批判も出そうだ。
この手の記事が読みづらいのは、
「給付抑制」「予定より」「早く止める」といった、
給付側なのか受給側なのかがわかりづらい表現で
リリースされているところではないかと思うのです。
日本では全国民が加入する公的年金制度を導入しています。
このうち基礎年金の国民年金が2階建ての1階となり、
企業が加入することによって徴収・給付される
厚生年金が2階部分とされています。
自営業者などが厚生年金への加入を義務化されないのは、
老後も商売を続けることで収入があると想定されていたから。
しかし、昨今の日本経済の停滞状況を考えると、
こうした国民年金の2階部分の補填というものも
おぼつかなくなっているのが実状でしょう。
実際に、国民年金の給付は下がり続け、
厚労省では老後を支えられないと判断しているようです。
ここで問題になっているのが、2004年に導入された
マクロ経済スライド。
これは「現役世代の人口減などを反映して実質的に給付を減らす仕掛け」でしたが、
給付に影響が出ないように、このスライドはたびたび一時停止されてきました。
この減額スライドの停止によって出た赤字が
2004年時点の想定に比べて8.8兆円/年にもなっているとか。
これでは財政のバランスがとれなくなるので、
給付減額を考えなければならない時期に来ているというわけです。
ちなみに、基礎年金部分の調整は2046年度まで必要だそうです。
こうした状況をうけて、厚労省では大臣の諮問機関である
社会保障審議会の年金部関での議論を始める予定。
2025年の法改正をめざしています。
ここで、基礎年金へのマクロ経済スライドの早期停止をして、
給付の目減りを5万円台後半にとどめようという案がでているとか。
当然、赤字補填に影響があるわけですが、それに対して
2025年度までとしていたマクロ経済スライドの期間を
延長する案で帳尻を合わせようとしている考えのようです。
基礎年金の減額は、国民年金だけの人はもちろん、
厚生年金の人も1階部分が減るので影響があります。
今回の見直しでは、年金加入期間の延長も議題になるとか。
現状の40年から45年案が浮かんでいるようです。
もちろん公的年金制度にはたよらなければならないのですが、
それ以外の自衛策についても自己責任として取り組むという姿勢が
ますます求められてくる世の中になってきているということですね。