生産年齢人口の低下を示す指数にはわりと簡単に上げられる策があったようです【ニュース拾い読み】
働き手1人が被扶養者1人以上を抱える自治体が全国に466あることが分かった。総務省が8月に発表した2022年1月1日現在の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査の結果を使い、生産活動に従事しうる現役世代に対する子どもと高齢者の比率を算出したところ、466自治体が100%以上と、1人の働き手が1人以上を扶養している状況だった。こうした自治体数は10年前 (61自治体)の7.6倍に拡大。働き手世代の比率が下がり、社会保障費などがかさんで経済成長を阻害する「人口オーナス」の逆風が自治体経営を揺るがしかねない。(「日経グローカル」444号に掲載)
生産年齢人口は7269万人(2022年1月1日現在、15〜64歳)、15歳未満+老齢(65歳以上)人口は5053万人ということで、比率は69.5%となります。
この比率を「従属人口指数」と呼び、生産年齢人口が増えれば比率が下がるので、これを「人口ボーナス」と言い、継続的に上昇している状態は経済成長を阻害するとして「人口オーナス」と言っているそうです。
オーナス(onus)とは、“重荷”とか“負担”を意味する単語です。
日本では1990年代から人口減少期に入ったと騒がれていましたが、その本質はこの「人口オーナス」だったということ。
このままでは、2049年に日本の従属人口指数は100に達してしまう見通しなのだそうです。
そして、全国返金よりも深刻なのが各自治体別の指数で、すでに「466自治体で既に従属人口指数が100以上」になっています。1位は群馬県南牧村、2位が長野県天龍村、いずれも指数は200オーバーになっています。
逆に、最も低いのは千葉県浦安市。また、この10年で従属人口指数が低下(つまり生産年齢人口が上回った)地区も11自治会ありました。長野県平谷村、鹿児島県三島村、山梨県早川町、三重県朝日町、富山県舟橋村、長野県売木村、大阪府田尻町、東京都台東区、三重県川越町、沖縄県多良間村、長野県大鹿村。
これらの減少地域では、移住体験ツアーや農山村親子留学生など子育て世帯の移住促進に熱心であったりと、それなりの努力の賜物であったようです。
鹿児島県三島村では、「移住者には支度金10万円、報償50万円または子牛1頭(2人以上世帯)を支給するほか、3年間は月額最大10万円(2人世帯)を助成」と、大盤振る舞い。山梨県早川町も「町営団地の分譲価格の30%割り引き、住宅改修費の最大50万円補助」と、この指数が公費の投入によって操作できることを示していると言えそうです。