「女子大生はなぜ乳児を殺めたか」全文公開の戦慄的な内容について

記事の背景

2020年11月に「産んだばかりの赤ちゃんの遺体を東京・港区の公園に埋めた疑い」で神戸市の衣料販売員が逮捕された事件。
彼女は、2019年11月当時、就職活動のため飛行機で上京。羽田空港到着直後に産気づいて空港内のトイレで出産。
その後、港区東新橋にある区立イタリア公演に赤ちゃんの遺体を遺棄したとみられている。遺体は着衣がなくヘソの緒も付いたままで、口にはティッシュが詰められていた。
警察は周辺の約800世帯に聞き込みを行なったが、有力な情報を得られなかったため、公園周辺の防犯カメラ映像をもとに3万人近い通行人を1人ずつ解析。
遺体発見の数日前に、袋を抱えて公園に出入りしていた彼女が浮上したというもの。

記事のポイント

熊本市の民間病院・慈恵病院の蓮田真琴理事の視点
「こうのとりのゆりかご(通称:赤ちゃんポスト)」運営
蓮田夫妻は「乳児遺棄事件を起こした母親たちがゆりかごを選ばなかった理由を知るために、夫妻は数年前から乳児遺棄事件の裁判を傍聴」。
被告が「境界知能」であることが鑑定医による精神鑑定の結果として公判で明らかになっている。

知能指数の平均域を100前後とすると、50~70が軽度知的障害とされるが、「境界知能」はその境目となるおおむね71~85未満を指す。グレーゾーンとも呼ばれる。軽度知的障害では複雑な情報の処理や、先行きを見越した行動、問題の解決が苦手とされる。そのため学習、仕事、お金の管理、子どもの養育など社会生活で苦労を抱えやすい。

裁判では、被告側の証人の社会福祉士が学習障害を指摘。これは三番町によって却下された。
蓮田真琴理事は、この社会福祉士と担当弁護人、被告の両親に相次いで面会し、保釈された被告を受け入れた。
拘留中の被告と面会した社会福祉士は「留置場のアクリル板越しに2桁の計算式の書かれたプリントを示」すが、「被告は計算以前に『8』『3』といった数字さえ読めなかった」ことを確認。
改めて精神科医を受診し、3回にわたって発達症に関するテストを行なう。これよにり、限局性学習症と診断、グレーゾーンではあるものの自閉スペクトラム症と注意欠如多動症の特性も認められると指摘される。
限局性学習症とは、全般的な知的発達は平均的なのに、字を読む、書く、音読する、数字の認識、計算する、推論するといった部分に限り脳の情報処理が機能しない障害だ。脳神経系の微細な発達の障害で起きると考えられ、基本的には先天性だ。学習障害、読み書き障害、ディスレクシアとも呼ばれ、スティーブ・マックイーン、トム・クルーズ、柳家花緑など障害を公表している著名人は少なくない。

被告が出産の際にスマホの「9」が推せなくて「119」へ通報できなかったのは限局性学習症によるもの。
そのほか被告の不可解とされた行動も、発達症の特性と関連付けて考えられるとしている。
この記事を読んで気づいたのは、著者も指摘している「人々の好奇心と加罰意識」がいかに一方的な視点で判断したものでしかなかったかということ。
彼女がアセクシュアルであることが認識されずに、恋バナに加われない劣等感を解消しようと風俗でのアルバイトを選び、望まない妊娠に至ったという経緯は、一般のに位置不足こそ問題にされるべき。
こうした診断と理解によって、ようやく両親も(なぜ娘がこうした行動に至ったかという)問題を把握できるようになったとのこと。

ひとこと

犯罪者を理解するのは不可能、あるいは意味のないこととする意見もまだ多いかもしれないが、こうした障害に対するアップデートをおざなりにしたまま思考を停止しているのは、ただただ怠慢なだけだということを教えてくれる記事だった。


Ryan McGuireによるPixabayからの画像

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