「弱音をはく勇気」は心のケアに重大な影響を与える武器になるかもしれません
「いまどきの若いもんは……」というおじさん世代の若手に対する評価はいまに始まったことではないでしょう。
しかしながら、最近はここに「メンタルの弱いゆとり世代」といった偏見が加わり、おじさん世代の若者評価の下落を加速させている感があります。
この風評に異をとなえているのがこの記事。
職場の20代に「うつ病かもしれません」と言われた /OSEANS
記事では、3年に一度実施されている厚生労働省の直近の「患者調査」(平成26年)のデータを引用し、最近の20代と40代のうつ病等の気分障害の罹患者数に顕著な差がないことを挙げています。
そのうえで、40代のおじさん世代は「メンタルが強い」のではなく、単に「我慢している自分がすごい」と思い込んでいるだけ、とバッサリ。
しかし、若者からすれば、オッサン達のそういう態度は単に「やせ我慢」であり、強いことでもなんでもない。むしろ、コンディションが悪い状態のまま、無理して仕事をしても良いパフォーマンスは出ず、最終的には周囲に迷惑をかけることになる。それを、自分の小さなプライドを維持するために、どうしても我慢できなくなるまで、周囲に何も言わずに自分の中だけにとどめておくようなスタンスこそ、勇気のなさ、メンタルの弱さと考えている……と言ったら言い過ぎでしょうか。
近年のベストセラー『嫌われる勇気』ではありませんが、若者は「弱音を吐く勇気」を持っているとも言えるかもしれません。実際、マネジメントをしていて、うつ病を発症しているにも関わらず、ずっと黙って我慢してしまわれると、管理者や経営者側からみれば困ります。社員の健康に対する責任もありますし、ある日突然耐えられなくなって急に休まれるのも大変です。そう考えれば、若者のように、すぐに体調不良を言ってくれるほうがありがたいです。
おじさんの痩せ我慢の背景には、年功序列や終身雇用の崩壊といった不安要素が影響しているとも考えられます。
若いときよりも、それなりの地位になってからの方が、我慢しなければならない状況は多くなる、と言うことです。
「弱音をはける社会」というのは、人を思いやることができる、すなわちダイバーシティーの実現を推進するための重要なファクターになるのではないでしょうか。