「うつはうつる」という言説に関するマンガを読んで気づいたこと
「『うつ』って、うつるの?」というタイトルの『マンガで分かる心療内科・精神科』収録のマンガ。
結論は、うつという症状は物理的な伝染原因をもった病気ではないので「うつる」ことはない、というものでした。
しかし、肝心な部分はこちら。
類似性による親近効果というものです。
人間は、無意識に自分と近い(似たような)人に親近感を抱きます。
つまり、同じような思考パターンや感じ方をする人と仲良くする傾向があるため、うつの周囲の人は同じようにうつになる可能性が高い、ということ。
類は友を呼ぶです。
これを精神衛生学的には感応精神病というそうです。
この話題で注意しなければならないのは、「うつはうつる」という都市伝説的な言説を信じてはならないというのが結論ではないということ。
また、「類似性による親近効果があるので感染したように見えることがある」ことを理解することでもありません。
では、どこがポイントになるのか。。。
それは、「類は友を呼ぶ」ことがカウンセリングの重要なきっかけであり、うつを解決するための重要な要素に成り得る、ということ。
類似性による親近効果は、悩み事を相談する相手を決める際の大きな要因になります。
どんなに偉い先生でも、なんか話しづらいと感じたときは、カウンセリングに至らないことが多いわけです。
カウンセラーは、話術を駆使してクライアントから悩みを引き出すエキスパートである必要が無いのです。
クライアントが話しやすいカウンセラーが、そのクライアントにとってのベスト・パートナーになるだけのこと。
「心を開ける」関係は、クライアント、カウンセラーの両者の努力によって成し遂げるべきものではないというのが私の実感。
もちろん、そういう苦行を好む人もいるでしょう。
しかし、無理なカウンセリングは、無理なダイエットと同様に、すぐにリバウンドしてしまうことが考えられるのです。
努力すべきは、無理をせずに、自分が素直で向き合うことができる相手を探すこと。
そんな気づきを、このマンガが与えてくれました。
感謝。